コラム

コラム:『M君のこと』

 

高校の頃、M君という同級生がいた。

 

M君は格好つけるところがあった。

関西でいうところの、「ええかっこしい」というやつだ。

 

自分の髪をいじりながらポーズをとったり、トイレの鏡を長いこと見つめたりする。

ナルシスト気味のところがあり、それは本人も認めていた。

反面いくぶんお茶目な感じもあり、笑いに変えたりする頭の良さもあって、憎めないキャラクターであり、わりと人気があった。

ただし人気があったのは男子の間だけである。

 

ある日水泳の授業があった。

 

授業も終わりにさしかかったとき、M君は他の同級生から、

「M、お前モッコリしてたやろ、何考えとってん!?」

と、からかわれていた。

どうやら、スイミングパンツをふくらましていたようだ。

 

その時、M君は涼しい顔をしながらそしらぬフリをしていた。

 

それから数十年の時が経った。

 

ネットニュースの広告で、M君の名を見つけた。

本の広告であった。著者名がM君なのだ。

 

M君はネット関連の会社の立ち上げに参画したり色々と成功していた。

それで本も出していたのである。

M君はある会社の社長になっていた。

 

私は驚いた。

 

M君がヘッドハンティングされたその会社は、なんとメンズパンツを専門に取り扱う会社だったのだ!

 

私は笑ってしまった。

数十年の時を経て、大きな伏線が回収されたかのようだった。

 

その後、日本経済新聞の小さな記事で彼の業績が紹介されているのを見つけた。

彼の活躍に元気をもらうと同時に、なつかしさやほほえましさも感じている。

 

文章:parrhesia

 

画像提供元:https://foter.com/f7/photo/5920605581/f9afbc54ff/

関連記事

  1. グミから検出されたHHCHが11月22日より指定薬物になる
  2. 劇場版アニメ『鹿の王 ユナと約束の旅』の紹介
  3. 魅力あふれる『カマキリ』の世界
  4. イマニュエル・ウォーラーステイン『アフターリベラリズム 近代世界…
  5. 現役ドラフトで加入した選手の明暗
  6. 「9月になっても暑い」
  7. フランツ・カフカ『城』前田敬作【訳】新潮文庫
  8. 小説:『出会いはどこから転がり込むかわからない 上』

おすすめ記事

小説:『知的障碍を発症した女性は、入院先で少女と出会う 下』

前回まで・小説:『知的障碍を発症した女性は、入院先で少女と出会う 上』・小説…

重度障碍者が国政の場で働く

  参議院選挙において、れいわ新選組が2議席を獲得した。 れいわ新撰組で議席を獲…

「自粛、自粛」と呼びかけるだけでは意味がない

 コロナ自粛が呼びかけられているものの、人の流れは以前と変わらなくなりました。 …

気づき

人は、気づきが得られれば、どこまでも成長できると思う。…

【海外サッカー】ギャレス・ベイルが33歳で電撃引退

ウェールズ代表フォワードのギャレス・ベイルが今月9日、現役引退を表明しました。…

新着記事

PAGE TOP