風呂トイレ共同のボロアパートに住んでいた友人の話。
夜中にトイレに立ち、用を足していると子供の声がした。
「お母さーん、お母さーん」
- こんな夜中に子供が外をうろついているのか? -
友人はトイレの小窓から外を見たが、声の主の姿は確認できなかった。
その声はすぐ近くから聞こえてくるようだった。
- 母子が夜中にジュースでも買いに出ているのだろう -
程度に思って、友人は床に戻った。
しかし、同じことがちょくちょく起きたという。
老朽化のため間もなく取り壊しが決まった。
取り壊しの際、トイレの壁から骨のようなものが出てきたという。
骨に似た木切れだろうと、解体業者によって処分されたが、
「あれは本当に木切れだったのかなぁ?」
と今でも友人は言う。
文章:百百太郎
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