サスペンス・ホラー

怖い話『壁の中から』

 

風呂トイレ共同のボロアパートに住んでいた友人の話。

夜中にトイレに立ち、用を足していると子供の声がした。

 

「お母さーん、お母さーん」

 

  • こんな夜中に子供が外をうろついているのか? -

 

友人はトイレの小窓から外を見たが、声の主の姿は確認できなかった。

その声はすぐ近くから聞こえてくるようだった。

 

  • 母子が夜中にジュースでも買いに出ているのだろう -

 

程度に思って、友人は床に戻った。

 

しかし、同じことがちょくちょく起きたという。

 

老朽化のため間もなく取り壊しが決まった。

取り壊しの際、トイレの壁から骨のようなものが出てきたという。

骨に似た木切れだろうと、解体業者によって処分されたが、

 

「あれは本当に木切れだったのかなぁ?」

 

と今でも友人は言う。

 

文章:百百太郎

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f6/photo/8406586631/d87b327ab2/

 

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