バイクを何台も保有しているバイク好きの友人が、買ったばかりの中古スクーターを置かせてくれと持ってきた。
置き場所に困っているだけだと思ったわたしは、ガレージにそのスクーターを入れ、預かることにした。
夜になると、
- ガシャン、ガシャン –
と、ガレージが激しく鳴る音がする。
どうやら外は強い風が吹いているようだ。
うるさくてとても眠れやしない。
明け方前にようやく音はやんだ。
夜が明けるとすぐに友人がスクーターを取りにやって来た。
「昨日は眠れた?」と言う友人。
「明け方近くまで風の音がうるさかったな」
「そうか・・・、やっぱりあれ処分するわ」
「もう手放しちゃうのかよ?」というわたしに友人は言った。
「昨夜は風もない穏やかな夜だったよ」
文章:百百太郎
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