サスペンス・ホラー

怖い話『停電』

 

大学生の時、家賃が格安のボロアパートに住んでいる友人がいた。

畳敷きの四畳半で風呂トイレ共同、家賃はわずか数千円だったと思う。

そこは寝泊まりに利用しているだけで、休日前になると車で隣県の実家に帰ってしまう。

なので、部屋には布団と、暇つぶし用のテレビとゲーム機しか置いていなかった。

 

その友人の部屋で人気の新作RPGをしていると、突然停電になった。

 

「うわー、セーブしてねえよ!」

 

と叫ぶわたし。

わたし同様、新作RPGをしていたのだろう、「おい!」とか「うわー!」とか、あちこちの部屋からも悲鳴に似た叫び声が聞こえてくる。

それからも何度か停電は繰り返し起き、その度にあちこちから叫び声がした。

 

そんなことがあってから数日後、大学の部室に寝袋で寝る友人の姿があった。

あのアパートにはもう戻らないという。

 

「やっぱり停電か?あれじゃゲーム進められないもんな」

 

というわたしに友人は言った。

 

「実はアパートに住んでたの、俺だけだったんだよね」

 

文章:百百太郎

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f5/photo/4744175365/a7cd02f34c/

 

関連記事

  1. 怖い話『かまくら』
  2. 怖い話『ボスママの眼』
  3. 怖い話『預かったバイク』
  4. 怖い話『作業服の男』
  5. 怖い話『開かない襖』
  6. 怖い話『仏間の少女』
  7. 怖い話『持っていくな』
  8. 怖い話『お前がいないと』

おすすめ記事

仕事に行きたくない時、どうやって自分を鼓舞している?

生きる為には、「仕事」をしてお給料を頂かないと生きていけません。何をするにもお金…

君は一人じゃない

仏典に「一人一日の中に八億四千念あり」とありますが、一日のうちに人はそれほど刻々とコ…

【第一回】【「これから何が売れるのか?」がわかる人になる5つの方法】

ちきりん『マーケット感覚を身につけよう』ダイヤモンド社 の紹介本…

クラシック人気作曲家⑪

皆様こんにちは!桐谷 凛花(きりたに りんか)です。今回も宜…

女子高生の運転した車に男性が引かれて死亡

 18歳の女子高生が運転した車に男性がひかれました。男性は病院に運ばれたものの、死亡…

新着記事

PAGE TOP