サスペンス・ホラー

怖い話『深夜のコンビニバイト』

 

大学の先輩が深夜のコンビニバイトを始めた。

 

わたしは買い物にかこつけて、様子を見に行った。

夜も遅い時間とあって店内に客はおらず、わたしたちはカウンターを挟んで雑談をしていた。

 

ふと見ると、ドアの向こうでニヤニヤしながら、こちらを覗き込んでいる者がいる。

わたしたちと同じ年齢ぐらいの男だ。

わたしは先輩の連れが来たと思った。

 

「先輩の友達が来てるみたいなので、そろそろ帰ります」

 

先輩にそう告げると、

 

「ん?どこに?」

 

ドアのほうを見やると、そこには誰もいなかった。

 

「さっきまで、そこにいましたよ」

 

先輩はドアの外に出て、辺りをキョロキョロと見渡し、「誰もいないぞ」と店内に戻ってきた。

 

「いや、ここにいましたって」

 

わたしが場所を指さすと、先輩は言った。

 

「おかしいなあ、そこにいたのなら、ドアが自動で開くはずだぞ」

 

先輩は何かの見間違いだろうと笑っていたが、バイトを辞めるまでそんなに時間はかからなかった。

 

文章:百百太郎

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f5/photo/49885464277/37a0a5f6a2/

 

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