友人と自転車で買い物に出かけたときのこと。
帰りの川沿いの道を走っている時には、すっかり暗くなっていました。
隣を走る友人が、上空を見上げながら言いました。
「あれなんやろ?」
見ると、空にぽっかりと赤い月が浮いています。
「きれいな赤い月やな」
と答えると、
「いやいや、月はそっちにあるやん?」
指さす方を見ると、そこにいつもの黄色い月がポッカリと浮いています。
「あれなんやろ?」
「何かな?」
わたしが目を凝らしてよく見ようとすると、赤い月は雲間に隠れてしまいました。
その雲が通り過ぎた後には、そこに赤い月はありませんでした。
文章:百百太郎
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