将棋の編入試験の制度が一部変更されました。今回はそれを取り上げていきます。
従来の受験資格
従来は直近の対戦成績の最もいいところで、10勝以上かつ6割5分以上の勝率を満たした場合に編入試験の受験資格を得ていました。
変更点
2021年2月の制度変更によってタイトル戦で下記の成績を残した場合についても、受験資格を得られるようになりました。
条件は以下の通りです。対象者はアマチュアもしくは女流棋士となっています。
竜王戦:ランキング戦優勝
王位戦:挑戦者決定リーグ入り
王座戦:挑戦者決定トーナメンベスト8
棋王戦:挑戦者決定トーナメントベスト8
棋聖戦:決勝トーナメントベスト8
朝日杯:本戦トーナメントベスト4
銀河戦:決勝トーナメントベスト4
NHK杯:本戦トーナメントベスト4
新人王戦:優勝
達成可能な条件はどれになるの?
最も可能性がありそうなのは竜王戦のランキング戦優勝です。昨年は西山朋佳女流三冠(奨励会三段)がベスト4まで進みました。竜王戦は1~6組まであり、6組に強豪と呼ばれる棋士はほとんどいません。アマチュアや女流棋士にもチャンスがあります。
王位戦の挑戦者決定リーグ入りも、わずかながらに可能性がありそうです。対戦相手の運次第ではリーグ入りできるかもしれません。トーナメント戦で、番狂わせが起きやすいといわれています。
王位戦では前年にシード落ちした全棋士の中から選ばれるため、タイトルホルダーと2回戦で当たってしまうこともあり得ます。現代の最強棋士と呼ばれる、渡辺名人(三冠)は来期も予選からの登場なので、抽選次第では2回戦であたることになります。プロでない棋士が対戦することになったら、勝利を収めるのは絶望的です。
他については、厳しいような印象を受けます。NHK杯戦のベスト4は、プロ棋士であっても、なかなか達成するのは困難です。女流棋士が達成するのは現実的とはいえないでしょう。
他もハードルの高いものがずらりと並びます。棋戦のみで編入試験の条件を満たすのは困難といえるでしょう。従来の10勝以上かつ勝率65パーセント以上を目指すことになるでしょう。
編入試験は5回戦で行われる
編入試験の相手は直近にプロになった棋士です。3回勝利すれば合格、3敗すれば不合格となります。
編入試験を受験するための費用は高い
受験料は50万(税別)円となっています。3敗した場合は、大金をどぶに捨てることになります。
編入試験に合格すればフリークラスの棋士になる
フリークラスの棋士は10年もしくは10年半以内に、順位戦にあがらなくてはなりません。編入試験に合格したとしても、厳しい道のりが待ち受けています。
西山女流三冠が編入試験の受験資格を得た場合はどうするのか
女流棋士は編入試験を受けられるものの、三段リーグに所属している棋士には編入試験受験資格はありません。どのように扱うことになるのでしょうか。
文章:陰と陽
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