友人同伴での買い物帰り。
わたしは電車の座席でウトウトしていました。
隣の人が立ち上がる気配で目を覚ますと、駅に停車していました。
「今、どのへん?」
と、友人に聞くと
「次で降りるよ」
という返事。
しかし、電車の窓の外を見ると、そこがまさに降りる駅でした。
「ここ、降りる駅じゃないの!」
わたしが慌てて立ち上がるも、友人が腕を掴んで引き戻します。
「いいから、次の駅で降りよう、ね!」
そうこうしているうちに、ドアが閉まり電車は動き出してしまいました。
遠ざかっていくホームを見送りながら、
「どういうつもりよ、何で降りなかったのよ」
と、文句を言うわたしに友人はポツリと言いました。
「さっき、あんたの隣に座ってた人・・・窓ガラスに映っていなかった・・・」
文章:百百太郎
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