サスペンス・ホラー

怖い話『砂山』

 

わたしが幼かった頃の話です。

その時、わたしは公園の砂場でひとり、砂山を作って遊んでしました。

途中から、それに気づいた友人も参加しました。

わたしたちは、それまでにない大きな砂山を完成させました。

普通に立つと、お互いの姿が確認できないほどです。

わたしたちは、それにトンネルを掘ることにしました。

ひとりではトンネルを開通させるのは到底無理、ふたりでももしかしたら手が届かないかもしれないと思いながら、トンネル掘りをしました。

 

両側からどんどんトンネルを掘り進めていくと、やがて友人の手に触れました。

そしてお互いにがっちりと掴みあいました。

「開通だ!」

と、砂山の反対側へ回って見ると、そこに友人の姿はありませんでした。

友人はお兄さんが缶ジュースを飲んでいるのを見つけ、途中でトンネル掘りを投げだし、そちらへ行ってしまっていたのでした。

あの時、砂の中でわたしと掴みあった手は、誰の手だったのでしょうか?

 

文章:百百太郎

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f5/photo/47064461204/c03a0f8495/

 

 

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