近所にゲーム機の置いてある駄菓子屋がありました。
お店に入ると、目当てのゲーム機には先客がおり、壁側に順番待ちが一人いました。
わたしは順番待ちの子の隣で壁を背にして、ゲームが終わるのを待っていました。
突然向こうで、
- バアン! -
と大きな音がしました。
音のした方を見ると、煎餅の入っている缶が倒れていました。
お店のおばさんが駆けつけてきて、それを拾い上げ、蓋を取って、中を覗いて、わたしたちに言いました。
「煎餅割れてしもうたやないの!弁償しいや!」
おばさんは蓋をして、また同じ所に缶を置いて、奥に引っ込んでしまいました。
わたしは隣と顔を見合わせ、
「え?!俺ら、ここにおったよな!?あれ、勝手に倒れたよな!?」
隣の子が言うには、
「さっきも倒れたんやで、俺も怒られたとこやねん」
「そうなん?倒れやすいんやな、安全なとこに避難させとけばええのに、何でまた同じとこに置くかな?」
などとやっている所に、またひとりお店に入ってきました。
その子がわたしの隣に来た途端。
- バアン! -
またさっきの煎餅の缶が倒れてしまいました。
おばさんが駆けつけてきて、
「あんたらそこにおったらアカン!こっち居とき!」
わたしたちは反対側に移動し、ゲームを見ながら順番待ちしていました。
しかし、こうしているうちに、また煎餅の缶が倒れるんじゃないかと、気が気でなりません。
「気味悪いわ!」
わたしは店を出ました。
文章:百百太郎