サスペンス・ホラー

怖い話『あしあと』

 

林間学校の夜、みんなで枕投げしようという話になりました。

みなそれぞれ枕を手にします。

しかし、ひとりが

 

「あれ?俺の分がない」

 

と言い出しました。

見ると、確かに布団の数とメンバーの数が合いません。

別の部屋のメンバーが紛れ込んでいるのだろうと、

 

「違う部屋のやつ、誰?」

 

と呼びかけても、誰も反応しません。

まあいいや、ということになり枕投げは開始されました。

 

真夜中、みなが寝静まった頃。

わたしはなかなか寝付くことが出来ずにいました。

 

突然もの凄い大降りの雨が降り出しました。

凄い勢いでトタンを叩く音が聞こえてきます。

わたしはすこし障子を開けて、外の様子を確認しました。

雨で真っ白な世界でした。

雨はすぐに止みました。

それから間もなくわたしも眠りに付きました。

 

朝起きて庭を見ると、昨晩の大雨で、すっかりぬかるみになっていました。

そこに誰かの足跡が、点々と続いていました。

 

「誰?外に出たの?」

 

みんなは顔を見合わせます。

部屋のメンバーはみんな揃っていました。

 

「そういえば、枕投げのとき、ひとり多かったんじゃなかったっけ?あのあと誰も部屋から出てなかったよな?」

 
 
文章:百百太郎

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