サスペンス・ホラー

怖い話『農道のトイレ』

 

ある日、わたしは夢を見ました。

それは農道脇にある、ボロボロの掘っ立て小屋のトイレで用足しをしている夢でした。

隣を見ると、同じく用足ししている農作業の人がいました。

夢はそれだけで醒めました。

わたしは目が覚めるなりハッとして飛び起きて、布団を確かめました。

 

  • まさかこの歳で?! -

 

幼い頃に用足ししている夢を見たときに、オネショをしていたことがあったからです。

布団は濡れていませんでした。

 

それから数日後、仕事で同僚と車で移動中の時のこと。

途中、車を停めトイレ休憩に入りました。

わたしは農道脇のボロボロの小屋のトイレを見つけました。

 

入っていくと、先客がいました。

地元の農作業の人でした。

 

  • この前の夢もこんな感だったな -
  •  

と思いながら隣で用足しをしていると、その人が話しかけてきました。

 

「この前は大丈夫でした?」

 

「え?!」

 

「わたしは・・・」

 

そう言うと、その人は深いため息をひとつつくと、しきりに首を横に振りながらトイレを出て行きました。

 

文章:百百太郎

 

 

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