十両の木崎海が首の痛みを理由として、日本相撲協会に引退届を提出。現役関取の中では異例ともいえる、二十五歳の若さで土俵人生に幕を閉じることになった。
木崎海は三段目の100枚目付け出しでデビュー。幕下で一度負け越しを経験するも、8場所で関取の座を掴む。90パーセントは一度も十両にあがれないという厳しい世界において、順調な出世街道を歩んできた。
十両の壁に跳ね返される力士も多い中、木崎海は踏ん張った。七勝八敗と負け越したのの、十両の地位を守ることに成功。一場所での幕下転落を回避する。
十両昇進後の三場所目では、一〇勝五敗の成績を残す。翌場所の番付は西十両三枚目となり、成績次第では幕内の見える地位にのぼりつめた。
自己最高位で迎えた初場所に、首を負傷するというアクシデントに見舞われる。首を痛めた影響からか精彩を欠き、三勝一二敗の成績で場所を終えた。
その後も首の状態は思わしくなかったのか、二場所連続で負け越すこととなった。それでも、十両の地位を守り続けていた。
99パーセント以上の人間は翌場所も、土俵に上がると信じていたと思われる。そんな矢先に引退のニュースが流れた。相撲ファンの衝撃は大きかったのではないかと推測される。
ファンよりもずっと苦しい思いをしているのは、引退届を提出した木崎海本人。わずか十四場所の土俵人生で、25歳の力士は何を感じているのだろうか。
*才能などに恵まれていても、一度のケガで人生はダメになるのを学んだような気がします。
文章:陰と陽