コロナウイルスの影響を受けて、回転寿司がタッチパネルによる注文に切り替えているようです。
本題に入る前に寿司屋にタッチパネルが導入された経緯を簡単に説明します。
寿司は具材の単価が低いため、回転率が非常に重要となります。それにもかかわらず、一度に全部を頼むわけではなく、食べたいものをその都度に注文する食べ物です。注文だけで捌いていると、回転率を上げられないうえ、たくさんの人員を必要とします。注文だけでは売上に繋がらず、人件費で収益を圧迫するという悪循環に陥ります。
時間をかけるデメリットは他にも存在します。コメの品質(温度の低下も含む)、魚の鮮度にも影響を及ぼします。寿司屋として、最高の状態の寿司を提供することができません。客側にとってもおいしい魚を食べられなくなってしまいます。
タッチパネルは三つの問題を解決するために、取り入れられたようです。手動で注文できるようにすることで、客は食べたい寿司ネタを手早く食べられるようになります。結果として滞在時間を短縮に繋げることができます。状態のよい寿司を食べられる確率が上昇します。
タッチパネルによる注文に切り替えることで、人員配置を少なくすることも可能です。人件費を抑えるのに有効な手段といえます。
タッチパネルの注文はさらにメリットがあります。注文制にすることでロスによるコストをカットを実現できます。レーンを回る寿司は4回転くらいで廃棄するため、廃棄処理によるコストが生じることになります
タッチパネルは店にとっては一石四鳥のシステムといえます。唯一の問題としてタッチパネルの衛生面がありますが、多くの人は気にしていません。
前置きが非常に長くなりましたが、ここで本題に戻りたいと思います。近所の寿司屋においても、×月×日より「コロナウイルスの感染を防ぐために、タッチパネルでのみ注文を受け付けています」という紙が貼られていました。衛生対策を万全にしたいという思いから、そのようにしているものと考えられます。
回転している寿司屋に慣れているからか、どことなく物足りなさを感じてしまいました。回転中の寿司ネタをとる、とらないにかかわらず、レーンをぐるぐるとしているところに魅力を感じていたのかもしれません。
タッチパネルで寿司を注文するとき、目的のネタを探すのに手間がかかりました。近年は寿司だけでなく、サイドメニューが充実しているため品数が非常に多岐にわたります。項目ごとにわかれているとはいえ、一つのネタを注文するのに時間がかかってしまい、フラストレーションがたまりました。
パネルの操作に慣れていない層にとっては、レーンを回っている寿司を食べることによって、苦手な操作を避けることもできました。タッチパネルを導入しながらも、寿司を回転させていたのは、あらゆる層を取り込むための工夫だったのかもしれません。
売り上げの減少よりも、ネタの廃棄処理によるコストダウンが大きいと判断されれば、コロナウイルスが収束したあともタッチパネルの注文のみで運営していくことも考えられます。回転寿司はどのようになっていくのか、今後に注目したいと思います。
文章:陰と陽