コラム

ショートショート『自業自得が招いた不幸の連続』

 

 一か月前から彼女との破局、交通事故による全治一年の大怪我、会社からの解雇通知と立て続けに不幸に見舞われました。挙句の果てには母親の死亡が伝えられ、一緒に住んでいた家族を失うことになりました。

 男は短期間の不幸に、ついに頭がおかしくなりました。病室にいるにもかかわらず、大声をあげてしまいます。

「俺はどうして不幸にならなければならないんだ。何か悪いことをしたのか」

 男自身は気づいていませんが、不幸は必然だったのです。彼女は友達から奪い、交通事故も赤信号を無視したために起き、会社からの解雇通知は日常の業務態度の悪さからだったのです。母親の死亡についても、日常的に暴力をふるっていたために起きました。不幸の主人公を装っていますが、男は加害者だったに過ぎません。

 会社で自由奔放に振る舞っていたため、男に恨みを持っている人間は少なくありませんでした。深夜の病室に忍び込み、男の生命維持装置の電源を切りました。発見が遅れた(病院関係者は気付かないりをした)ために、遂に天国へと旅立ってしまうことになりました。病院関係者は男の処遇に困惑しており、犯人の悪事は神が手を差し伸べられたかのように感じたことでしょう。自分たちの手を汚すことなく、邪魔者を処理出来たのですから。

 日頃から人を大切にしていれば、このようなことにはならなかったでしょう。困ったときに誰かに助けてもらえない人間というのは、不幸になる運命から逃れることはできないのかもしれません。

 

文章:陰と陽

 

 

 

関連記事

  1. 生活保護は減額されていくのか
  2. 毒電波様には逆らえない
  3. 『友がみな我よりえらく見える日は』(幻冬舎アウトロー文庫)のご紹…
  4. 幸運を手に入れる方法
  5. 吉村萬壱『死者にこそふさわしいその場所』文藝春秋
  6. 『自分らしさ』を求める風潮の中、『みんな同じ』を強制してくる社会…
  7. モッツアレラしようぜ!
  8. 貧乏教信者のテロリスト

おすすめ記事

『仲間』―それぞれの道に進む仲間との約束―

最高の仲間と過ごした日々は…かけがえのない思い出。&nbsp…

企業は障害者雇用を本当はしたくない

 企業は障害者雇用を本当はしたくないのです。障碍者雇用率が政府の規定を超えないと、政…

チャレンジしなければ成功することはない

 チャレンジした者が成功するとは限らないけど、成功した者はチャレンジしています。…

『元の場所』

どんなに遠回りしても… 必ず元の場所に戻る……

『年の瀬の墓参り』

https://farm1.static.flickr.com/282/18487951119_9c…

新着記事

PAGE TOP