知的障碍者だからといって取り柄(長所)がないわけではない。
学習面だけでいうならば、健常者に負けているといわざるを得ない。二桁の足し算をできない、立体(三次元)の仕組みを理解できない、漢字が読めない、記憶するのが難しいなど多くの部分で劣っている。
学校時代に勉強ができなくても、社会では関係ないというのも知的障碍者にはあてはまらない。基礎的な部分で弱さを持っているため、仕事の場で苦労することになる。軽度の境界線(IQ70~75)くらいになると、まともに業務を行うのは難しくなる。
実力主義の社会では能力ばかりに目が行きがちだ。ただ、人間性はそれだけでは推し量ることはできない。
知的障碍者には一般人にない素直さ、優しさを持っている。計算高い人間で溢れている中、人情味あふれる笑みを見ることで、心に温もりをもたらしてくれる。損得勘定で動いている、健常者には決して真似できない領域だ。
第三者の感情に温かさをもたらせるのは、充分すぎるほどの長所といえる。その部分を胸に秘めながら生きることで、ポジティブ思考に導けるといいな。
文章:陰と陽