コラム

ショートショート『障碍者の闇』

 

 遠藤太郎は障碍者ゆえに他人とは異なる部分がたくさんあった。

 周囲はそれが気に入らなかったのか、多数で叩きにかかった。大勢の前では、一人の力など無力である。

 いじめだけでなく、仲間外れにもされた。ありとあらゆることで、心のダメージを与えてきた。

 教師も自分に責任を及ぼしたくないのか、見て見ぬふりをする。インターネットなどでいじめについて書かれていたけど、一部分が当時と完全に被っていた。二〇年以上が経過しても、人間社会で起きていることについては変化がない。文明が日々進歩しても、人間の心は一ミリたりとも前に進まない。 

 大人になると、さすがに目に見える行動はとりにくくなる。暴力をふるうと警察に連絡される、暴言であったとしても面倒なことになりかねない。

 いじめた当人が車の運転を苦手だという情報を収集し、善意のつもりで地方に帰って来いという誘いをかける。内心では事故死させようなどと思っていることはおくびにも出さない。

  幼少期は完膚なきまでに叩きのめして、最後は善意を装って口封じを図る。自らの手を汚すことなく、完全犯罪を成立させる。一般人とはつくづく恐ろしい生き物だなと思う。

 多くの悪魔の手から身を守れるよう、生きるための知恵を身に着けていきたい。思惑通りに殺されてたまるか。

 

文章:陰と陽

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