これは、私の知人の実体験である…。
彼は、とある病院の看護師として勤務していた。
その日は夜勤で、仮眠を取るために仮眠室へ向かって休憩を取ろうとしていた。
畳敷きの部屋に布団が敷いてあり、彼は床に就こうと布団に入る。
何気なく窓の外を眺めると月が綺麗に見えた。
“うわぁ…今日は月が綺麗だな…”
彼は、綺麗に見える月に感動し、暫く眺めていたそうだ。
しかし、異変は直ぐに起きた。
窓も開いていない、他に誰も居ない、そんな状況でカーテンがゆっくり閉まっていった。
彼は何故だ?と起き上がり辺りを見渡すが誰も居ない……。
そして、入り口の方からギシギシと誰かが歩いてくる音が聞こえてくる。
だが、誰も居ない……。
けれど、確実に何者かは、彼の元に近づいてくる……。
そして、彼は突如強い力で布団に押し倒され、心臓を鷲掴みされる様な痛みを感じ命の危険を感じた。
息が出来ない、死にたくない、そんな気持ちで思いっ切り振り払う動作を取ると謎の力はあっさりと彼から離れた。
彼は必死な思いで詰め所へ逃げた。
詰め所には他に業務をこなす看護師たちが居た。
汗だくで青ざめた表情で詰め所に入ってきた彼を見た他の看護師たちは一言。
「出たか?」
後の話で他の看護師も体験したことのある話だったようだが、彼と他の看護師とで違う点があった……
それは、カーテンがしまった事、心臓を鷲掴みされるような苦しみを感じた事…
彼とそこに現れた何者かは、波長があったのだろう……。
だからその何者かは、彼に手を出し何かを訴えようとしたのであろう……。
文章:八雲月夜