伊藤裕『なんでもホルモン 最強の体内物質が人生を変える』
本書は、ホルモンが人体に与えている影響力を概説した書籍です。
ホルモンとは人間が恒常性を保って生きていけるようにと、自分自身の細胞が作り出した物質で、主に内分泌腺が集まっているところから生成されているとのことです。
現在までに、ホルモンは100種類以上のものが発見されており、各ホルモンは、それぞれごとに特化した役割りを担っていて、その特徴としては万能ではないことが上げられましょう。
ところで、人間の体内で影響を及ぼしている体内物質と言えば、他に「神経伝達物質」が頭に思い浮かびます。
神経から神経に情報を伝える神経伝達物質は、交感神経と副交感神経のバランスを調整する役割りで、主なものとしては、「ドーパミン」、「ノルアドレナリン」、「セロトニン」の3つ(モノアミン)が代表的なものです。
ホルモンは、内分泌線というところから作られ、血液の流れに乗って必要なところに運ばれていきますが、神経伝達物質の方は、それとは異なった方法で情報を伝えているとのことで、そうした違いがあると言うことを、おぼろげながらも理解することができました。
冒頭に書きましたように、本書はホルモンの概要を解説する本でしたから、筆者の問題意識(神経伝達物質とホルモンの違い)については、一言のみ言及した程度に留められていました。
最後にその個所を、本文から一部ですが転載しておきます。
『また、神経の細胞(ニューロン)から分泌されて他の神経細胞に働く物質は、神経伝達物質と呼んで、これらの物質は、ホルモンと区別されていました。
中略…。この本では、ある細胞から分泌され、その"興奮"を他の細胞に伝える物質をすべてホルモン(「広義のホルモン」)として扱うことにします。』(P22より)
文章:justice