福祉・医療

漢字を書けなくとも履歴書を作成できるという話に感動した

 

 障碍者同士の交流会に参加した。

 知的障碍を患っているゆえに、漢字を書けない利用者がいた。中学生レベルになると全く読めないようだ。知的障碍は原則としてIQ70以下なので、中学生レベルのことを理解できる人は少ない。

 そのようなハンデを抱えているにもかかわらず、履歴書を手書きしているといっていた。書けない字をどうするのと質問すると、「支援者が準備した見本(パソコンで印刷)の履歴書を映し書きすればいい」とさらりといってのけた。 

 読めない文字を清書する場合、細かい部分まで見なければならず、かなりの手間を要することになる。一、二文字ならまだしも、一〇文字ともなるとやる気をそがれてしまいかねない。

 知的障碍ともなるとわからない漢字はもっと増える。それにもかかわらず、履歴書を手書きするというのだから相当な根性、精神力の持ち主といえよう。通常は途中で諦めるか、誰かに清書してもらうのどちらかの選択肢を取る。自分でやるという発想にはなかなかいきつかない。

 ハンデを抱えていたとしても、ものごとに前向きに取り組もうとする。感動的な話は、一生胸にとどまるだろう。知的障碍者よりも能力を有している人間として、もっと頑張らなければならないと考えを改めさせられた出来事であった。

 

文章:陰と陽

関連記事

  1. B型作業所に通う場合の注意点
  2. 三環系抗うつ薬
  3. 伊藤周平『社会保障入門』(ちくま新書):ケアを考えるシリーズ3作…
  4. 時代の変化が発達障碍者の仕事を奪った
  5. 地元の名産品を使用したA型作業所の紹介
  6. 広井良則『持続可能な医療─超高齢化時代の科学・公共性・死生観』(…
  7. リーゼを減薬してみた
  8. 23年間、精神科に入院した男性が就職

おすすめ記事

リンゴの一個当たりの価格が、一部の桃を上回る異常事態

  近所のスーパーで、1個98円で販売されていたリンゴが258円まで上昇。安値をつけ…

なぜ缶コーヒーには「スチール缶」が多い?

暑い時期、のどが渇いたときに、近くの自動販売機で缶コーヒーや缶ジュースを買って飲…

散文詩:『存在の数値を高めようとすれば』

存在の数値を高めようとすれば、それを抑え込もうという動きがうまれる。争いのない世界の実現を願…

『一人ぼっち』

結局一人ぼっちになるのなんかわかっていたよ。強がったってあたしは…

『完訳7つの習慣 人格主義の回復』 スティーブン・R・コヴィー【著】 キングベアー出版 (株式会社FCEパブリッシング)

『完訳7つの習慣 人格主義の回復』 スティーブン・R・コヴィー【著】 キングベアー出…

新着記事

PAGE TOP