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美と髪型
美人は、怒ると怖い。だから、怪談やホラー映画に出てくる女性は、皆美人。
髪の毛の長い人は不気味。だから、怪談やホラー映画に出てくる女性は、皆ロン毛。
この二つは定番である。だが、昔の怪談などに出てくる女型の妖怪は、髪は長くとも容姿は何故か皆醜女。何故だ。
日本の人魚こと人面魚を見るとよく分かる。髪は長いが、顔は般若のように醜悪だ。
『四谷怪談』のお岩も、死んだ後の姿は生前とはまるで別人だ。面影をまったく残していない。
この頃は美人は怖いという考えがなかったということだろうか。
濡れ女や二口女も美人とは言い難い。産女やろくろ首には特に美人という設定はないようだ。
けらけら女は一応美人という設定だが、塀から覗き込むような巨体をしているらしいので、美人とかどうでもよくなりそうだ。
そして髪型だが、それは時代のせいか全体をロン毛が占めている。だが、もしも妖怪や幽霊の髪型がロン毛ではなかったら?
ろくろ首がベリーショートだったらぶれてしまいそうだ。首が伸びたり飛んだりしても、ボーイッシュでカッコいいってなって、恐怖心が薄らいでしまうかもしれない(ろくろ首は頭部が飛ぶというパターンもある)。
お歯黒べったりがパンチパーマだったら、それはもうコントだ。
ロン毛はロン毛でも、中世ヨーロッパで流行ったようなすごい盛った髪型では、恐怖どころかすごい頭だと感動してしまうかもしれない。
恐怖を全く感じないので一緒に写真とか撮れそうだ。若しくは、妖怪や幽霊がポンパドゥールとかフィッシュボーンとかしてんなよ、と突っ込みたくなるかもしれない。
髪型って色んなジャンルで大切なんだな。
ショートヘアが唯一許される、というより逆にショートじゃないとダメみたいな妖怪がいる。それは座敷童だ。
座敷童がツインテールとかポニーテールとかにすると、座敷童と気付かずに普通に遊んだり、その髪型で着物は似合わないとか言って西松屋とかに連れて行ってしまいそうだ。
やはり座敷童はおかっぱ頭でないと。
オタク心を刺激するような怪物ばかりだった
因みにヨーロッパは神話などがごっちゃになっていてよくわからなかった。
それに妖精の使い勝手の良さには逆に感心する。日本とは違って大陸が繋がっているせいかもしれない。
殆どがギリシャ神話が絡んでいたし、姿かたちが割と曖昧(伝説なんてそんなもんか)。
その時代の画家や発注者が自分好みにした結果、妖精は愛らしい、ウンディーネは本当は性別不明だが女性の姿なんてことになったのだろう。
自分好みなんてことを言うと、お前たち(日本人)が言うなと言われてしまいそうだ。
だが日本とは違って、基本美人に描かれていたと思う。夢魔とメデューサ以外は。
謎は解けないままだった
日本画では今の時代を生きる人にはあまりハマらない。だから美人には見えない。
『見返り美人』ですら、美人と言っているのにこっちは首を傾げてしまう。
それともストレートな、若しくはナチュラルボーンな恐怖を求めていたから美人な妖怪が少ないのだろうか(ナチュラルボーンの使い方、あってる?)。
それがいつから今のようなホラー概念、美人は怖いが生まれ、固定されたのだろうか。
というか日本はどうやって、あののっぺりとした日本画から今のような世界的にも独特なイラストを描くようになったのだ。
文章:ぴえろ