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「家に遊びに来ないか?」
新学年になってひと月ほど経ち、新しく友人になったクラスメイトに誘われた。
彼は公団住宅に住んでいる。
「うち、最上階だから。12階だから」
その日の放課後、教えられた公団住宅にやってきた。
エレベーターに乗り込んで、階層ボタンを押そうと見ると、
「あれ?」
最上階が13階になっていた。
屋上を示すRボタンの下に13階ボタンがあるのだ。
「最上階って言ってたよな。12階とも言ってたな。どっちなんだ?」
迷っていると、おばさんが一人乗り込んできた。
「13階押してちょうだい」
12階と13階のボタンを押した。
おばさんを残し、12階に降りてみると、そこに友人宅があった。
「ここ最上階じゃねえじゃねえか」と友人に文句をいうと、
「12階が最上階だよ。この上は屋上だし」と友人は言い張る。
その後、帰りにエレベーターに乗り込んで、もう一度確かめてみると、そこに13階ボタンはなかった。
文章:百百太郎