詩・ポエム

詩・『あるものとないもの』

テーブルの上に リンゴが一つ

それは そこに 「ある」

空を見上げれば 太陽がさんさん

夜の闇を仰げば 星々が点々

あれは 空に 「ある」

ただし

心の中には 「ある」ものは「ない」

たとえば 誰かに

やさしいね と言われる

やさしさ なんか 自分の中に

「ある」と思う その時点で

それは みにくい 思い上がり

同じくして

いたわりも 自信も 矜持も なにもかもが

いや もしかしたら 「心」そのものさえも

「ある」と思うほどに 実は

「ない」ものなのだと 知る

どうしようもないほどに 脆い

全てが蜃気楼のように 不確かな

そんなものにすがらないと みんな

今一瞬さえ 立っていられない

ややこしくて

やっかいで

めんどくさくて

けれど 残念ながら

そして だからこそ

人は 人たりえる

 

作:フジカワ

関連記事

  1. 『目を無くしてしまった』
  2. 『人間関係があるから…』―人生こんなにも恐怖なのか―
  3. 『子供のままがいい』―大人になると子供に戻りたくなるー
  4. 詩:『理想を捨てて生きる』
  5. 『自然になるもの』―努力をしたものだけが得られるもの―
  6. 『ひとこと』―ちょっとした一言に救われる―
  7. 『何も手につかない』―誰にでもそんな時はある―
  8. 『打ち上げ花火』―君にとって偉大な存在になりたいー
PAGE TOP