コラム

前野隆司著『実践ポジティブ心理学』のまとめ【第一回】

 

前野隆司著『実践ポジティブ心理学』のまとめ【第一回】

 

はじめに

 

「ポジティブ心理学」は、90年代にアメリカ心理学会の会長であったマーティン・セリグマン氏が提唱したもので、海外の学会でも大きな話題となり、ハーバードなどの講義でも人気になっているといいます。

 

ポジティブ心理学は、それまでの臨床心理学のように心の病を対象とするのではなく、普通の人が「どうすればもっと幸せになれるのか」を追求する分野です。

「マインドフルネス」「レジリエンス」もポジティブ心理学の重要なキーワードです。

 

基本的には普通の健康状態にある人向けですが、著者は、心の病にかかっている人も生きるヒントを得られると言っています。

 

コラム一本で全部をご紹介することはできないので、これから複数回に分けて要点をご紹介したいと思います。

 

 

ポジティブ心理学を知る

 

第一回は、「ポジティブ心理学を知る」ということで、本書第一章のまとめです。

 

日本人は世界一不安になりやすい民族ではないか、と言われています。

 

その根拠とされているのが、「セロトニントランスポーターSS型」という不安遺伝子を持っている人が多いことです。

 

セロトニントランスポーターには、SL型とLL型、そしてSS型があるのですが、SS型が一番幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの再取り込み機能が低いのです。

 

著者は、そんな日本人こそ、「ポジティブ心理学」が生きるうえでとても有効だと言います。

 

「ポジティブ心理学」は、何でもかんでもポジティブに考えなさい、とするのではありません。

ポジティブな感情もネガティブな感情も、ともに自分の感情として認めつつ、ポジティブな感情をネガティブな感情よりもすこし多くもつことを勧めます。

そうすることで、人生が好転するという研究が出ています。

 

楽観主義でいると上手くいくと言われても、なかなか自分の感じ方を変えるのはむずかしいですよね。

 

なにか良いことが起きた時に、その原因を内的・永続的・普遍的にとらえる。

逆に、良くないことが起きたら、その原因を外的・一時的・限定的にとらえる。

 

つまり、いいことは自分自身に原因があると考え、それがこれからも続き、あらゆる場合に作用すると考えるのです。

このように、何か起きたときに「説明スタイル」を変えるだけで、大きく変わります。

感じ方を変えるのではなく、その起こったことの「説明スタイル」(説明の仕方)を変えるのです。

 

他には、「フロー」の概念が紹介されています。

これは、何かに没頭しているときの精神状態ですが、「自分にとって少し困難だけれどやりがいがあり達成可能であること」に取り組んでいるときに訪れる状態です。

「フロー」に入ることで、幸せに近づきます。

 

また、「マインドフルネス」も瞑想という「今、ここ」に集中するものです。

瞑想だけでなく、「お茶の香りをじっくりと楽しむ」「おにぎりをゆっくりと食べて味わう」など、「今、ここ」に意識をしっかりと向けることで、雑念が取り払われすっきりとした脳の状態を目指せるのです。

 

さらに、「広く浅い人間関係」が幸福に寄与するとの研究があります。

あまりにも多くの知り合いをもっていても駄目ですが、ある程度幅広い人間関係をもつと幸福になる、というのです。

多様な人とつながりをもつと、いろいろな刺激が得られるということと、楽観的になりやすいということが、その理由です。

著者は、何かの活動に参加して知り合いを増やすということを勧めています。

 

 

文章:増何臍阿

 

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