コラム

ショートショート『夕食は鍋』

 

 十一月の後半に差し掛かろうとしている。温暖化で平均気温があがったといっても、さすがにこの時期ともなると肌寒く感じる。寒さ防止のための上着が必需品となる。

 本日の夜御飯は何にしようかな、京子は買い物かごを片手にそのようなことを考えていた。

 ご飯のメニューを考えるのは面倒だ。おいしい料理を手間暇をかけずに、完成させられればいいのに。

 スーパーの店内を歩いていると、京子の二つの瞳に白いうどんが飛び込んできた。彼女は細長い麺を見て、にしようかなと思った。寒い時期にぴったりの一品だ。

 うどん鍋のお供になる鶏肉、豚肉、白菜、えのき、ネギなどをかごに入れる。これらと一緒に煮込むことで、具材のうまみ成分が麺に入っていく。相乗効果によって、単品に火を通した場合よりもおいしく感じられる。

 最後に待っているのは熱々の雑炊。鍋の残り汁で作ることによって、ご飯のよさが際立つ。卵、塩(味の調整)、のり、みじん切りにしたネギを投入し、白米に更なる深みを持たせる。

 京子は買い物を終えると自宅に向かった。レジ袋の中に入っている具材が、いつもよりも輝いて見えた。

 

文章:陰と陽

関連記事

  1. みじめになりたい人がいるのか?
  2. 【第二回】『マーケット感覚を身につけよう』
  3. 国民は怒っていた
  4. 人は、人によって精神的にも成長していく
  5. 映画『ゴースト/ニューヨークの幻』をご紹介
  6. 榊原哲也『医療ケアを問いなおす-患者をトータルに見ることの現象学…
  7. 『他人(大切な人)』を幸せにする方法。
  8. 樺沢紫苑著『読んだら忘れない読書術』サンマーク出版

おすすめ記事

高校教師シリーズ2

『科学教師 矢沢信一 24歳』漫画:PAPR…

『苦しみから…』―苦しみから解放させて―

縁を切った…切られた…その記憶を…&nb…

怖い話『散らかすな!』

うちの親は怖い。特に部屋を散らかしていると、すぐ怒鳴るのだ。…

米で作った酒、日本酒発祥の地と伝えられる兵庫県宍粟(しそう)市の『庭田神社』

 米で作った酒、日本酒発祥の地と伝えられる兵庫県宍粟(しそう)市の『庭田神社』…

薬の副作用が副作用でなくなり、主作用になることがある

 薬の薬効より、副作用の有用性に注目がされて、副作用を主作用にして使われる薬がありま…

新着記事

PAGE TOP