コラム

ショートショート『魔法の薬は悪夢へのカウントダウンだった』

 

  体重を減らしたいと強く願っている女性に、一日で100グラム痩せられる薬が届けられた。

 飲むだけで体重を減らせるとあって、ダイエット志向の女性は大いに喰いついた。未来のことを深く考えることなく、薬を飲んだ。

 薬を飲んだら最後、痩せ続ける宿命から逃れることはできない。一日ならわずかだけど、一ヶ月換算で3キロとなる。一年間で36キロもやせることになる。150キロの巨漢であったとしても、4年間で体重のほとんどを奪われてしまう。

 効力は永遠に続く。痩せるのをストップさせるために、一日に10000キロカロリーを摂取しても意味はない。薬は体重を100グラムずつ吸い取っていく。

 服薬して一日目、体重が100グラム減少した。薬を飲んだ女性達は、そのことに大いに感動していた。

 一〇日目には服薬した全員の体重が一キロ減少。楽して身体がスリムになるとあって、女性の中でおおいに評判になった。

 服薬した女性が異変に気付いたのは数か月後のことだった。薬の効力により、別人みたいに痩せ細ってしまった。

 木の棒のような細さはさすがにまずいと思ったのか、服薬した女性は体重を増やすために、食事量を3倍にした。それでも、薬の効果により100グラムずつ絞り取られていく。

 薬の解毒剤は用意されていない。一度口にしたら、魔の手から逃れることはできない。

 半年後、欲望を満たすために薬を飲んだ女性は・・・・・・・・・・・

 

文章:陰と陽

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