モンティ・ホール問題は、モンティ・ホールという人が司会を務めるアメリカのゲームショー番組で行われたゲームに関する論争に由来する問題です。
「直感で正しいと思える解答と、論理的に正しい答えが異なる問題」のいい例です。
【ゲームの概要】
ここに3つのドアがあります。
1つのドアの向こうには景品の新車があります。
残りの2つのドアの向こうには、ハズレを意味するヤギがいます。
プレイヤーは、まず最初に1つのドアを選びます。選ぶだけでここではドアを開けません。
つぎに、司会者のモンティが残りのドアのうち1つを開けてヤギを見せます。
(司会者は景品がどのドアの向こうにあるか知っています)
ここでプレイヤーは、開けるドアを最初に選んだものから変えてもよい、と司会者に言われます。
プレイヤーはドアを変更するべきでしょうか?
あるニュース雑誌でコラムを担当するサヴァントは、「正解は『ドアを変更する』だ。
なぜなら、ドアを変更した場合には景品を当てる確率が2倍になるからだ」と回答し、これに反対する投書が一万通を超え、プロの数学者も巻きこむ大論争に発展しました。
いかがでしょうか?
当時、多くの人々が「ドアを変えても確率は変わるはずがない、同じだ」と考えました。
しかし、正しいのはコラムニストのサヴァントだったのです。
【ドアを変更すれば当たる確率が倍になる理由】
まず、最初に選んだドアが当たりである確率は、1/3です。
そして、モンティが残りのドアを開けたあと、ドアを変更しないのであれば、モンティがドアを開けようが開けまいが変わることなく、当たる確率は1/3です。
もし最初に選んだドアがハズレであれば、そのドアとモンティが開けたドアの両方がハズレなので、変更すれば確実に当たります。すなわち、最初に選んだドアがハズレの確率=ドアを変更した場合に当たる確率です。
ところで最初に選んだドアがハズレである確率は、2/3です。
だから、ドアを変更した場合に当たる確率は2/3であり、サヴァントの回答が正しいことになります。
ちなみに、最初に選んだドアか残りのドアのどちらかが当たりなのだから、変更すれば当たる確率は1/2だ、というのは間違いです。
そうなるのは、最初からハズレのドアが1つ開けられている状態から始まる場合であり、それならば変わらず1/2です。
この問題は、確率論におけるベイズの定理の「事後確率」(条件付き確率の一種)の例と見なせます。
「条件付き確率」というのは、ある事象 B が起こるという条件下での別の事象 A の確率のことをいいます。
ちなみに、モンテカルロ法でシミュレーションを行うと、見事に「変更すると2倍になる」という結果が出ます。
なんとなく感覚で出す答えと、論理的に導かれる答えとが全く異なるこの問題。
人間の感覚はあてにならない、と考えるか、論理ってのはいったい何なんや、と考えるかはその人しだい。
皆さんは、どうですか?
文章:増何臍阿
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