生石(おうしこ)神社のご神体である『石の宝殿』は、およそ1300年ぐらい前に人工的に加工された巨石で「鎮の石室(しずのいわや)」や「天の浮石」とも言われています。
宝殿山の斜面に生石神社の社殿が建っていて、その社殿の奥に岩をくりぬいて作られた「石の宝殿」があります。3方を岩壁に囲まれ、天井の無い直方体の部屋の中に四角の泉があり、その上に、しめ縄を巻いた巨石が浮いているかのように直方体の「石の宝殿」が鎮座しています。前面に賽銭箱があり、側面の前の方辺りに帯状のタテのくぼみがあり、後方には台形の出っ張りがあります。巨石の下部は、くぼんでいるため、池に浮かんでいるというより、重力に逆らって空中浮揚しているように見えます。拝観料を払えば、岩壁と巨石の間を周回出来ます。磁力で浮く電子レンジを見た目を想像すると良いかもしれません。
社殿の左側には、宝殿山の頂上への道があり、登っていく途中で石の宝殿を上から見ることが出来て、巨石の上に木が生えているのが見られます。
石の宝殿は、西暦710年代に書かれた『播磨国風土記』にも存在が記述されていますが、いつ誰が何の目的で造ったのかはまだ解っていません。
伝説では『大穴牟遅(おおあなむち)』と『少毘古那(すくなひこな)』の神々が、国を鎮めるための石造の宮殿を造っている時に、土着の神『阿賀の神(あがのかみ)』の反乱が起き、鎮圧のために未完成になり、2柱の神は宮殿が未完成でもこの土地を鎮守することにしたと伝えられています。それなので、生石神社では大穴牟遅と少毘古那の2神を御祭神として祭っています。
宝殿山の山頂の山上公園の足場は、平坦な岩で出来ていて、『大正天皇行幸之跡』の石柱の碑が立っています。360度の視界が広がり、瀬戸内海の播磨灘のきれいな景色が広がります。竜山石採石遺跡の山の白い壁面も印象的です。
生石神社の最寄り駅は、JR『宝殿駅』で、南口に降りて兵庫県道393号生石宝殿停車場線を真っ直ぐ進んでいくと、宝殿山のふもとに着きます。アスファルトから石畳なった393号線に沿って、更に進むと山側に鳥居があるので、そこから階段を上っていくと生石神社につきます。国道2号線からコンクリート造りの飯尾医院看板と医院の駐車場の看板が、目印にある道です。駅から1.5km程度で20分と少しぐらいで行けます。近づくと山の斜面に社殿と石の宝殿の外側が見えるのでそれを目印にしてください。
石の宝殿の近くには、石の宝殿以外の観光名所と言える所はありません。行きは歩きで帰りはタクシーで移動することをおすすめします。行き返り歩くと大変でしたので。
宝殿駅周辺にコンビニや飲食店があり、並行して走る国道2号線にも、総合スーパーや100均ショップ等があるため、手ぶらで訪れることが出来ます。ネットカフェがあるので、石の宝殿見物が早く終わったとしてもひまつぶしに困ることはありません。
『姫路駅』から東方面へ5駅。『加古川駅』から西方面1駅。なので交通の便は良いので、姫路観光のついでのおまけの旅行プランにしてみるといいでしょう。
なにはともあれ、生石神社の石の宝殿と宝殿山頂の眺めは一見の価値があります。
文章:北山南河
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