コラム

「容疑を否認」のややこしさ

「とっとこハ○太郎」を、「やっとこハ○太郎」に変えただけで、一気に虚弱体質感が溢れ出てしまう、言葉のマジック(挨拶)。

と、いうわけで、フジカワです。

これを書いている今から数えて明日、お伊勢参りへ行くのですが、ピンポイントで雨の予報であり、「えー」とか思う今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今回の記事は、「バイアスがかかるよね?」とかいった話です。

日々のニュース

さて。媒体が何であれ、皆様も、毎日ニュースに触れるかとは思います。

僕は個人的に、芸能ニュースにはまるっきり興味がありません。

それはまあいいとして、各種犯罪のニュースなんかも、いっぱい見ます。

強盗、傷害、あるいは殺人エトセトラ。

よほどの迷宮入り事件でもない限り、おおむね、早い段階で容疑者が逮捕されます。

当然、それらはニュースになる。

そして、未成年である場合を除き、名前と年齢が公表されます。

皆様、お気づきでしょうか?

そういったニュースが報道される都度。

僕達の思考に、知らないうちにバイアスがかかっていることを。

無敵の定冠詞

「住所不定、無職」

はっきり言って、これほど強い「肩書き」もないでしょう。

または、

「自称○○」

これも大概奮ってます。

こういう素性の人間が、罪を犯した。

なるほど、追い詰められた人間は、法を犯しても仕方がない。

いや、むしろ「犯してしかるべき」という認識さえある。

明確な物的証拠が揃っているなら、話は別です。

しかし、そうで無かった場合は?

つまりは、明らかな冤罪だったなら?

その本人に、全く、本当に心当たりがない。

で、あれば、取り調べでは「容疑を否認」します。

しかしながら、ニュースを受け取る側は、

「なんて往生際が悪い、けしからん!」

という印象を持ちます。

そうではない、がゆえに

世間一般の、「善良なる市民」。

彼ら彼女らは、形がどうであれ、定まった住まいがあり、職を持っている。

そして、その仕事(生活)を日々苦労して継続している。

要するに、しんどい毎日を送っている。

そんな「一般大衆」の目からすれば。

「住所不定、無職」

という存在は、「気楽で無責任な根無し草」に見えるでしょう。

そこに、容疑者当人の、諸々の環境を考える余地はありません。

人間は、理解ができないものを排除したがる。

「普通に」進学して、就職して、家庭を持って、責任を負う。

それが大多数であるがゆえに、「そうではない」ものが許せない。

憎むだけならまだしも、罰してしかるべきだとさえ思う。

そんな「はみ出し者」が、容疑者になった。

「快感」ですよ。

「自分の嫌いなタイプの人間が、罰を受ける」のですから。

厄介なバイアス

ちょっと、僕個人の例を挙げます。

15年ほど前のことです。

不運が重なって、全く見ず知らずの、赤の他人から、訴訟を起こされたことがあります。

証拠と称される書類が山とあったのですが、どれ一つとして心当たりがない。

しかし、原告の方は、僕が犯人だと信じて疑わなかった。

ちなみに、その裁判ですが、僕も弁護士を立てて争いました。

もちろん僕が勝ったのですが、原告の方も、バイアスバリバリでした。

そりゃそうですよ。

めっさ綿密に、全ての罪が僕に被るように仕組まれてたんです。

その方は、尋常ならざる金銭的被害を負った。

取り返したいのは、火を見るより明らか。

「糾弾する相手が欲しかった」わけですからね。

もっとひどい例

かの、地下鉄サリン事件よりも前。

松本サリン事件、というものが起きました。

「松本サリン事件-Wikipedia」

https://t.ly/CqrX6

当然と言うべきか、犯行を起こしたのは、オウム真理教です。

しかし、発生当時、近隣の無関係な住民が、容疑者にされました。

Wikipediaにも記載がありますが、その容疑者の方。

当時は、「真犯人だ!」と、メディアの「断定報道」が、そりゃあ凄まじかった。

その頃から僕は、思ったものです。

人々にとって、真理などというものはどうでもよい。

ただ、「疑わしきを罰し、よってたかって私刑(リンチ)に処す」快感。

それのみを、揃いも揃って、日々渇望しているのだと。

……さもしい話もあったもんです。

勘違いのなきように

「全ての犯罪容疑者に、情状酌量の余地を与えよ!」

そんなことを主張するつもりはありません。

そこだけは、皆様、勘違いなさりませぬように。

かつて、冤罪で苦しんだ身であるがゆえに。

日々報道される犯罪において、「容疑を否認」を見た時。

「僕は」少しだけ、当人の周辺に思いを馳せられる。

それだけの話です。

「ノンフィクションのエンターテインメント」

日々のニュースを、僕はそんな目で見ています。

んじゃまた。

 

文章:フジカワ

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