千葉雅也『現代思想入門』講談社現代新書
現代思想関係の本は、以前ほど人気がなくなり、市場でも売れなくなってきています。
また出版業界全般に言えることですが、紙媒体の本が売れなくなってきていることも、その要因として考えられます。
とにかく現代思想の出版物が敬遠される理由として、書いてある内容が難解で、一定の教養が備わってないと読み解けないからだと思います。
さて著者によれば「現代思想」とは、時代的には1960年代〜1990年代を中心にフランスで展開された「ポスト構造主義」のことだと、ざっくりとその概略を説明します。
本書では、特に「ジャック・デリダ」、「ジル・トゥールズ」、「フーコー」の3人に焦点を当てながら、現代思想の中身を案内していく構成を採用していました。
この本では、現代思想を理解する上でのポイントを示しながら書き進める著者の解説が分かりやすく、取っつきやすい印象を受けました。(偏りがない書き方をする人のように感じます)
たとえば、政府や行政の発表した事象を正義とする風潮が世の中を席巻してきていますが、ここに現代思想の観点を取り入れると、それとは違った見解も考慮していかなければなりません。
つまり現代思想の言葉に即して言えば、「二項対立」は「脱構築」と呼ばれたりもするわけですが、現代思想を学ぶと、両者におけるこうした「差異」を分析しようとする視点が得られるわけです。
これから「現代思想」を学びたい人には、この本はお勧めです。
文章:justice