コラム

佐藤 優『官僚階級論-霞が関といかに闘うか』モナド新書

 

佐藤 優『官僚階級論-霞が関といかに闘うか』

 

著者の佐藤氏によれば、国家という実体のないものを実質的に体現しているのは「官僚」の存在だとしています。

官僚は、社会契約論を著したフランスの思想家ジャン・ジャック・ルソーが語ったところの「一般意志」に基づいて、恣意的な正義を行使していきますが、民主政治体制の中で彼らの役割りが、表向きには選挙で選ばれた政治家を裏方で支えているような錯覚を起こし、あたかも事務方の職員として見えてしまいます。

教科書的に概観すれば、法の支配に則って、行政事務などを遅延なく遂行させるのが、官僚の置かれた役目のような印象を受けます。

 

本書からですが、官僚の在り方を原理的に捉える見方を提示している以下の文章を転載しておきます。著者の佐藤氏は、どちらかと言えば表向きとは違う官僚の実体を描き出していました。

 

官僚を一つの集団としてみた場合、その本質は、社会状況とは無関係に、あらゆる手段を行使して税金を巻き上げ、自己の利益を確保しようとする階級だということです。しかも、この官僚階級は、民主主義の制度よりもずっと古くから生息する寄生体なのです。

大統領制や議会制のもとにおいては、投票によって信任された者が、官僚をつかって政治を行うようにみえます。しかし、歴史的な成り立ちからみれば、民主主義は官僚階級みずからの専制を粉飾する装置だということです。(P230)

 

https://www.weblio.jp/content/%E5%AE%98%E5%83%9A

©官僚(かんりょう)とは何? Weblio辞書

 

文章:justice

関連記事

  1. 『La Peste』(Albert Camus)
  2. トマス・ペイン『人間の権利』岩波文庫
  3. 病によりて道心はおこり候なり
  4. 幸運を手に入れる方法
  5. コラム:『この世にはないものを求めて』
  6. フィクションを現実視するな
  7. エッセイ:『Dad’s complaints(おじさ…
  8. 小説:『出会いはどこから転がり込むかわからない 中』

おすすめ記事

『ある行旅死亡人の物語』のご紹介

ある行旅死亡人の物語©毎日新聞出版本書は、取材した共同通信記者である武田…

優しさとは?

筆者が学生の頃コラムを書く授業がありました。いくつか参考にコラムを読みましたがそのと…

野球にはスイッチピッチャーもいる

 野球でスイッチヒッターという言葉を耳にする機会は多い。スイッチヒッターとは両打席で…

西山朋佳女流三冠は女性棋士として初めて棋聖戦の一次予選突破

 西山朋佳女流三冠は女流棋士として、棋聖戦の一次予選を初めて突破した。(女流棋士の過…

ラグビーのルールを知らない人のために!

日本代表が初の決勝トーナメントにラグビーワールドカップ2019日…

新着記事

PAGE TOP