副島隆彦『余剰の時代』
世の中に蔓延っている偽善を解体し、所謂、本当の知識が何なのかを究明した上で、それを人々に伝えていくのが本書の著者である副島隆彦氏のテーマでもあります。
本書の読みどころといえば、欧米の知識人たちが常識として持ち合わせている政治思想(世界基準の思想)を体系化して紹介しているところです。
世界標準の政治思想を体系化して解説した著者の既刊の本として、『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』もありますが、今回紹介した新書『余剰の時代』の方は、副島隆彦氏の本を読んだことがない人にも、大枠の政治思想の体系が理解できるように配慮して書かれていているため、初心者にはこちらの方が取っつきやすいと思います。
本書で取り上げられた政治思想について、それぞれの詳しい説明は本書に譲りますが、分類として、本書で示されたものを簡単に示しておきます。
①ナチュラル・ラー(自然法派)
社会を成り立たせる自然の決まり事。
②ナチュナル・ライツ(自然権派)
個人の生得の権利として、生命・身体・財産の自由がある。
③ヒューマン・ライツ(人権派)
②に社会権を付け加えたもの。
③’アニマル・ライツ
動物の権利まで認める。
④ポジティブ・ラー(人定法派)
①②③③’は基本的に自然法を肯定するが、④で法の根拠になるのは、神や自然ではなく、あくまで人間と規定した思想。
文章:justice