福祉・医療

パラリンピックに知的障碍者部門がないのは健常者を参加させたチームがあったから

 

 パラリンピックは身体障碍者の大会というイメージが強い。学力に劣る知的障碍者の競技が行われることはほとんどない。

 知的障碍は、身体障碍者とは異なり見た目では判別しにくい。知的障碍が重い=足が遅いというわけではない。重度の知的障碍者が軽度の知的障碍者に勝利するのはよくある話だ。どのような基準を設けていいのか、開催者側にわかりにくい。

 知的障碍の盲点を突いた出来事が2000年のパラリンピックにあった。バスケットボールにて、スペインなどのチームが多くの健常者を参加させ、金メダルを獲得するという事件が起こった。不正行為を働いたことが問題として取り上げられ、不正に参加していない知的障碍者もパラリンピック参加の道を閉ざされてしまった。12年の時を経て、水泳、卓球、陸上競技に限って復活までこぎつけるも、以前のような状態からは程遠いといえよう。

 不正が行われたバスケットを、知的障碍者が理解するのはそもそも難しい。復活したとしても、ルールの壁に阻まれるのではなかろうか。重度ともなると、ボールをどうすればいいのかすらわかっていないと推測される。

 健常者が知的障碍の参加権を奪った罪は重い。社会的に大きなハンデを抱えながら、力を尽くしている人間への冒涜行為にあたる。今後はこのようなことが起きないよう、大会関係者にはきっちりとチェック機能を働かしてもらいたい。条件を満たした選手だけで開催するからこそ、パラリンピックは意味を持つ。

 

文章:陰と陽

 

関連記事

  1. 共栄はA型、B型併設作業所になる
  2. 医療関係者は国家試験に合格する前提で採用されている
  3. 盲(視覚障碍)・聾(聴覚障碍)者のためのA型作業所の紹介
  4. 障碍者にとって一般枠、障害者枠のどちらであっても厳しい
  5. 障碍者支援は脳を腐敗させなければつけない職業
  6. 支援員に過度な期待をしてはいけない
  7. デイケアのプログラムについて【障碍者編】
  8. ハローワークに配置されたサポーターの是非

おすすめ記事

ショートショート:『心はひとつの出来事で救われる』

 幼稚園入園雨崎冬木は幼稚園に入学する。他の…

ネコに与えてもよい果物

 今回はネコに食べさせても良い果物について取り上げていきます。与え方を間違えると病気…

『スライムを倒して300年、知らない間にレベルMaxになってました』の小説を読んだ感想

 『スライムを倒して300年、知らない間にレベルMaxになってました』の小説を、最新…

アルコール依存から脱却するのを目的とした福祉事業所

 福祉事業所において、アルコール依存から脱却することで、日常生活を取り戻していこうと…

インフルエンザを発症したのに相撲を取らされる

  相撲協会において、関取がインフルエンザA型に罹ったことを申告しました。それにもか…

新着記事

PAGE TOP