『インフルエンザ菌のイタズラ』
悪魔の菌が次のターゲットを狙っていた。
「今回は冬に流行るインフルエンザ菌で悪戯してやろう。あそこのひ弱そうなジジイがちょうどいいな」
菌は誰にも気づかれることなく、80歳の高齢者に襲いかかろうとした。義務にもかかわらず、インフルエンザの予防接種を行っていなかったため、瞬く間にかかってしまうこととなった。
「よし、大成功だ。次は誰をターゲットにしてやろうかな」
おじいさんを高熱が襲ったのか、脳がくらくらしている。菌はその様子にご機嫌だった。
ウイルス菌はすぐに伝染してしまいそうなターゲットを探す。今度は三か月前に生まれたばかりの赤ん坊がターゲットだ。
「あいつも簡単にかかりそうだ。よし、悪戯してやれ」
ウイルス菌は赤ちゃんにこっそりと近づき、一気に体内に押し寄せていく。赤ん坊はインフルエンザのワクチンを接種していたためか、なかなか中に入れなかった。悪魔は自分が消滅する前に脱出を図ることにした。
「ちくしょう。せっかくのターゲットなのにうまくいかない。こいつに時間をかけてもしょうがないから、次を探すことにしよう」
ウイルス菌は次のターゲットを探す旅に出た。春の季節がやってくるまで、一人でも多く感染させてやりたい。願いをかなえるため、忍者さながらの素早い動きをやめることはない。
ターゲットは人間60億人に加え、犬といった動物も含む。これらをひっくるめて困らせてやろうじゃないか。悪魔の瞳には見た目に反して、貧弱そうな二〇代の男女が映し出されていた。
文章:陰と陽