コラム

ショートショート『インフルエンザ菌のイタズラ』

 

『インフルエンザ菌のイタズラ』

 

  悪魔の菌が次のターゲットを狙っていた。

「今回は冬に流行るインフルエンザ菌で悪戯してやろう。あそこのひ弱そうなジジイがちょうどいいな」

 菌は誰にも気づかれることなく、80歳の高齢者に襲いかかろうとした。義務にもかかわらず、インフルエンザの予防接種を行っていなかったため、瞬く間にかかってしまうこととなった。

「よし、大成功だ。次は誰をターゲットにしてやろうかな」

 おじいさんを高熱が襲ったのか、脳がくらくらしている。菌はその様子にご機嫌だった。

 ウイルス菌はすぐに伝染してしまいそうなターゲットを探す。今度は三か月前に生まれたばかりの赤ん坊がターゲットだ。 

「あいつも簡単にかかりそうだ。よし、悪戯してやれ」

 ウイルス菌は赤ちゃんにこっそりと近づき、一気に体内に押し寄せていく。赤ん坊はインフルエンザのワクチンを接種していたためか、なかなか中に入れなかった。悪魔は自分が消滅する前に脱出を図ることにした。

「ちくしょう。せっかくのターゲットなのにうまくいかない。こいつに時間をかけてもしょうがないから、次を探すことにしよう」

 ウイルス菌は次のターゲットを探す旅に出た。春の季節がやってくるまで、一人でも多く感染させてやりたい。願いをかなえるため、忍者さながらの素早い動きをやめることはない。

 ターゲットは人間60億人に加え、犬といった動物も含む。これらをひっくるめて困らせてやろうじゃないか。悪魔の瞳には見た目に反して、貧弱そうな二〇代の男女が映し出されていた。

 

文章:陰と陽

関連記事

  1. 不思議な話『熱湯では伸びないラーメン』
  2. 変化を楽しもう
  3. アンダース・エリクソン、ロバート・プール『超一流になるのは才能か…
  4. 招かれざる客、ていうか主に虫
  5. 『北の無人駅から』(北海道新聞社)
  6. 【第二回】『マーケット感覚を身につけよう』
  7. 物語の一巻目を簡単に解説! 第四回【Rosen Blood】
  8. 小さな煩い 大きな煩い

おすすめ記事

【台湾事情】レシート宝くじについて

 買い物をするだけでお金がもらえるチャンスがある台湾 買い物をす…

心境の変化

いつ頃からでしょうか?自分のことだけで精一杯であったのに、人のこ…

年収204万以上であった場合、就労定着支援も利用料がかかる

 就労移行支援、A型作業所、B型作業所は前年度の収入により、負担が生じることを知って…

「電気ブラン」を本格的に楽しむなら浅草『神谷バー』がおすすめ

 「電気ブラン」とは、ブランデーベースのカクテルもしくはアルコール飲料です。 ブ…

『ある行旅死亡人の物語』のご紹介

ある行旅死亡人の物語©毎日新聞出版本書は、取材した共同通信記者である武田…

新着記事

PAGE TOP