コラム

アイザィア・バーリン『自由論』

 

昨年の2018年7月にですが、バーリンの『自由論』が新装版となって復刊しました。

この本の初版が1971年で、私は1979年に合本として発行されたものを古書店で見つけました。最近、復刊されたことを知っていたこともあり、この機会に1979年版を購入した次第です。

『自由論』の著者バーリンは、「積極的自由」と「消極的自由」を唱えた人で有名です。思った以上に難解な本で、読んでいても抽象的なことが長々と綴られていたので、かなり体力のいる読書となりました。

押さえておきたいポイントは、バーリンが提示した2つの自由の意味の違いです。ですが、この点を理解していても、本書は難しいです。

「消極的自由(negative liberty)」:他人の干渉を拒む自由(〜されない自由)

・「積極的自由(positive liberty)」:自己の意思を実現する自由(〜する自由)

バーリンの言う「自由」という言葉の意味を紹介しましたが、これ一つ考えても、この本は難しいことが分かると思います。

その他、自由という言葉には英語で表記されるところの「freedom」と「liberty」の違いも存在しますが、ここではこれ以上触れません。

 

ところで、日本での「自由」という言葉の取り扱いに関しては、戦後主流となった社会民主主義的な意味合いから入っていきました。言い換えると、福祉国家施策を標榜してきた中で、国家が国民に対して「揺り籠から墓場まで」の生存の全てに介入することを是認する考え方でした。これは戦後の主要な先進国が米国主導のリベラリズムを模倣した結果です。その後、2000年代に入ってから米国は衰退していくのですが、この辺りのことは、ウォーラーステイン『アフターリベラリズム 近代世界システムを支えたイデオロギーの終焉』のところで、少しだけですが触れておきました。

話を戻すと、第二次大戦後の米国主導とは、ルーズベルト政権による政府が市場に介入することを是とした「ニュー・ディール政策」のことを指しています。ここに至って、自由の意味合いは社会主義を標榜する人達に委ねられた格好になったわけです。ですから、日本は戦後発の「自由」しか体現してないと思います。これこそが至上命令だとして、日本中に社会保障施策(社会民主主義)が展開して行くに及んだ理由です。

 

日本人が戦後に受け取った自由に対する解釈だけでは片手落ちになると、過去の地点から指摘しているのがバーリンの『自由論』。深層的に解明すると、日本人にも「自由」という言葉の複眼的な意味合いを捉えてほしい。そうすると本書が復刊されるに及んだのは、戦後以前の自由観を学び直さなければならないということに繋がってくるでしょう。

 

『国家や他のいかなる権威も足を踏みこむことを許されない大きな私的生活の範囲を保持しておくことと社会的調和や社会的進歩とは両立しうると信じていた。』P310より

 

文章:justice

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