「最初と比較すると、作業スピードが格段に早くなりましたね。」
就労支援の現場でよく耳にする言葉。成長をたたえるためにいっているのだろう。
これ自体には嘘はないと思う。前より進歩していることは間違いない。ただ、肝心な部分に触れていない。そのことに気づける障碍者は一歩前進している。反対に気づいていない人は、支援者が大事な部分を避けていることをわかるように力を尽くしていきたい。
就労支援事業の目的は、一般会社に就職することであって、通い続けることではない。福祉事業を利用して、一般就職をするのが最終目標だ。
「一般会社に勤められるスキルを身に着けましたね」
上記は支援者が避けている表現だ。能力は以前より格段に向上していても、一般就労するための力量を身につけていないのはわかっている。それゆえ、こういった表現を用いることはしない。
障碍者支援のからくりに気づいていく。人間として成長していくためには、言葉を鵜呑みにするのではなく、別の角度からとらえるようにしていこう。
文章:陰と陽